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木の値段

130208材木会議

いま、全国各地の山では、植林できる林業の仕組みが壊れようとしている。この窮状を打開しようと、静岡から天竜TSドライ協同組合の理事で原木屋さんと製材所の2名の方が当事務所に、木の値段設定のご相談に見えた。

私たちのつくる木の家は、山との共存共栄を目標としている。家づくりをしながら植林・育林ができる仕組みが理念だ。

今回、心配は2つあった。
① 現状の価格で、植林・育林費用が山に還っているのか?
② 住まい手の方たちに、大きな負担がかからない妥当な価格帯は?

昨日、わたくしが代表理事を務める一般社団法人ワークショップ「き」組の仲間たちと、山の人たちを交えて、緊急の会議を開いた。

一般的に木の値段は、市場で買われた丸太の価格から製材の歩留まりを計算して捻出するとわかりやすい。丸太から角材に挽いて、ロスを勘案し、天然乾燥の経費を積み上げて出荷価格が決まる。
しかし、市場に出てくる丸太は、通常セリに掛けられて、値段は一定しない。また、植林から育林までの経費を算出することは難しいといわれ、どの山も費用の検証を行わない。場合によっては、原木市場に出すと赤字になるという。

そこで、私たちは一本の苗木を植えて、下草刈りや、間伐、山から丸太になり市場に運ぶまでの費用を算出した。実に複雑で困難な作業だった。

結果は、直接山との取引をしていることが価格の安定につながり、ぎりぎりだが現状の価格で、植林・育林費用が山に還っていることが分かった。これまで算定した木の値段が妥当で、これからも植林費用を返しながら、山との協働ができることが分かってホッとしている。

今回の会議で分かったことは、8年前に提唱した木の値段は、いつの間にか、私たちばかりでなく、多くの工務店や設計者が理解してくれていたことだ。少なくとも天竜TSドライでは、これまでも無理な価格を押し付けられることなく営業を続けられたということである。おかげで、2005年に徳島や天竜の山と、私たちが取り決めた木の値段の再確認にもなった。

一方、経費を計算しながらわかったことは、山で働く人たちの賃金が驚くほど低いということだ。つらいことだが、本当にぎりぎりの選択をしながら山は木を伐り出している。国の補助金に頼るのも無理はないと感じた。
だから、一本の木を大切に使いたい。何十年もかけて手塩にかけた木は、その価値を表してさらに長く活きてほしいと願った会議であった。

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